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kimikura

2022/01/27

特集/春と鶯

投稿者:きみくら編集部

立春(二十四節気)

旧暦では一年の始まり。春の兆しが現れ始める頃

まだまだ寒さが厳しい中、暦の上で一足早く訪れる春が「立春」。 立春は二十四節気の始まりであり、旧暦では元日に当たる日です。 草花や生き物は春に先駆けて動き出し、梅のつぼみやうぐいすの鳴き声など、自然の中に春の兆しを感じる頃。 梅とうぐいすはそれぞれ「春告草」「春告鳥」と呼ばれて親しまれてきました。

二月初旬には七十二候でも「黄鶯睍睆(こうおうけんかんす)」という候があり、「黄鶯」はうぐいす、「睍睆」はうぐいすの美しい声と姿形を意味しています。

うぐいす餅

そのうぐいすの姿を模した和菓子が、うぐいす餅です。 あんこが柔らかな求肥で包まれ、その上に青きな粉をまぶした、どこまでもほんわりした見た目と手触り。 まだ弱い初春の日差しのような、ふわふわと儚げな雰囲気と食感。 さりげなく形取られたくちばしと尾が、なんとも控えめな印象を与えます。

そんなうぐいす餅に、青きな粉だけでなく抹茶もまぶすと、一転してパッと鮮やかな緑色を纏い、一気に草木が芽吹いたよう。 春という季節の生命力やエネルギッシュな側面を感じられます。 お味も抹茶風味なので、あんこやお茶との相性のよさは言うまでもありません。

数あるお茶の中でも、抹茶にしかない特徴はいくつかあります。 特有の際立った苦味、玉露に次いで豊富な旨味成分のアミノ酸、スーパーフードと呼ばれるに相応しい栄養素の数々、何よりあの鮮やかな緑色。 和菓子だけでなく洋菓子でも抹茶味は定番となりましたが、料理にも使ってみると、もっと身近に感じられます。

うぐいす餅のレシピ

材料 [10個分]


  • 白玉粉90g
  • グラニュー糖45g
  • 120㏄
  • こしあん240g
  • 青きな粉適量
  • 抹茶適量


作り方


  • 1. こしあんを10等分に分けて、丸めておく。



  • 2. 生地を作る。耐熱ボウルに白玉粉を入れて、水を少しずつ加えて混ぜる。グラニュー糖も加えて更に混ぜ、ふんわりとラップをし、600wで2分加熱する。



  • 3. ゴムベラで全体をしっかりとこねて、均等にする。再びふんわりとラップをし、600wで1分半加熱する。



  • 4. 再び全体をゴムベラで捏ねる。バットに青きな粉を広げて、生地を出す。全体に青きな粉をまぶし、10等分に分割する。



  • 5. 生地が温かい内にこしあんをくるんで、楕円に成形する。片方の先をつまんで、うぐいすを表現する。



  • 6. 器に盛り、茶こしで抹茶をふって完成。


抹茶を料理に

旨味成分や栄養素などの機能面に限らず、風味や色味そのものも楽しめるのが抹茶の強み。 どうやって抹茶を料理に使おうかなと考え、試しに作ってみて、鮮やかな緑色を目と舌で味わうのは、どの過程もワクワクします。 ひとさじの抹茶は、食べ物の見た目も風味も印象も変えてしまうことができます。 それも決して奇を衒った形ではなく、日常に吹き込む新しい風のような形で。

たとえば、抹茶と和菓子のような定番の組み合わせは、繰り返される日常のような安定感があります。 一方で未来はいつも、うぐいす餅の輪郭のように朧げです。しかし未来が不確かであることは同時に、明日をよりよくできるかもしれないということ。 明日に期待するからこそ、今日何か新しいことを始める気になれるのです。

こうした前向きな気持ちは、私たちが「自由」と呼んでいるものから得られます。 抹茶を混ぜてどんな味になるか分からなくても、だからこそ試してみよう、もしかしたら美味しいかもしれない。 そうやって変化や新しさを受け入れる気持ちは、柔軟で自由な心から生まれます。

抹茶はスイーツに使うもの、抹茶はこう飲むものといった、私たちを無意識に縛っているルールも、数ある定番の味わい方の一つだと考えてみましょう。 そして同時に、「我が家の定番」や「あなただけの定番」は増えてもいいのです。 家にある食材に抹茶を混ぜてみる、普段使いの器でお茶を飲んでみるといった小さな一歩が、あなたの心をふと自由にするかもしれません。 心機一転という言葉が最も似合う春、これまで慣れ親しんできたお茶にも、まだあまり飲んだことがないお茶にも、新たに出逢いなおしてみませんか?

立春から数えて八十八日目は、お茶摘みで有名な「八十八夜」です。 茶葉が鮮やかに茂る八十八夜は夏の準備を始める時期でもあり、立春という春の初日にして、来るべき新茶のシーズンと夏を見据えています。 春も夏もその先も、お茶と過ごす一年は、まだ始まったばかりです。
文・矢島愛子