
一番の食べ頃を迎えた旬の素材に感じる格別な味や香り、すっと染み込んで身体が目覚めるような端々しさ。ほんの短い旬を愉しむ贅沢な時間は美味しさだけではなく、心にも潤いを与えてくれます。
毎年欠かせない定番の楽しみかたから、誰かに教えたい新しい楽しみ方まで、「お茶と旬」をテーマに季節の味わい方をうかがいます。
vol.01 / 新茶 × 木の芽

春が来て新芽が伸びる頃、山椒の木も「木の芽」を伸ばします。以前ベランダで山椒を育てていた時も、暖かくなるにつれてワサワサと木の芽が増え続けました。季節に呼応して元気に育つ山椒は食材としても植物としても旬真っ盛りであることを感じさせます。
普段は彩りとして控えめに添えられてる木の芽ですが、今回は木の芽をたっぷり使って、この時期ならではの「木の芽味噌」を作ります!

木の芽と新茶は、どちらも春に芽吹く新芽です。木の芽の爽やかな香りと味は、新茶特有の青々しさを連想させ、相性も抜群です。白味噌の甘さとしょっぱさでお茶を飲んだ後も木の芽の清涼感がほんのり口の中に残るような、春ならではのお茶の楽しみ方です。
香り豊かな木の芽味噌のレシピ

木の芽は多ければ多い方が良いですが、少量でも香ります。木の芽が少ない場合も、下茹でしたほうれん草の葉(茎は除く)を一緒にすり潰すと、鮮やかな緑色の木の芽噌煮になりますよ!
木の芽の独特の刺激感も、白味噌と合わせることでまろやかになります。お好みで木の芽味噌に卵黄をませると、より濃厚な味わいになりオススメです。
タケノコやお豆腐、焼きおにぎりなど、お好きな具材に合わせてくださいね。
材料(2人分)
- 木の芽1.5g以上〜
- 白味噌大さじ3
- みりん小さじ2
- 料理酒大さじ1
つくり方
- 1. みりんと料理酒を耐熱容器にいれ、電子レンジで加熱しアルコールを少し飛ばします(600Wで1分程度)
- 2. 1に白味噌を混ぜてよく溶かします。
- 1. 洗って水気を拭き取った木の芽をすり鉢ですり潰し、2と混ぜたら完成です!

待ちに待った"お茶の旬"がまもなく到来

立春から数えて八十八夜が経つ5月2日頃になると、農家さんは毎日、その日の天候と芽の生育を見て、いまかいまかと、摘採のタイミングを測ります。永年お茶を育てている熟達者たちが「旬真っ盛り」を見極めて摘み取った新芽は、お茶が美味しいとされる甘みや旨み、コク、ほのかな渋み、そのすべてが凝縮していて、栄養もたっぷり。しっかりと太陽の光を受けてエネルギッシュに育った力強い味わいが楽しめます。
「新茶」「一番茶」って?

冬の間長い休眠状態となるお茶の樹は、春を迎えると黄金色の新芽が芽吹きゆっくりと成長します。
その年初めて摘み取った新芽で作るお茶を「一番茶」や「新茶」といい、一番茶は二番茶より新鮮な香りが高く、リラックス効果のある成分もたっぷり含まれます。
お茶と食材それぞれの旬の出会いを愉しむ
同じ時季に旬を迎えるもの同士の、最高に贅沢な組み合わせ。
新茶ならではの香りや旨みをじっくり丁寧に味わうのはもちろん、野山の幸や海の幸など、相性のよい食材を掛け合わせることで一層引き立てあうそれぞれの特徴や香り、おいしさの相乗効果をたのしみながら、旬を味わっていただけたら嬉しいです。