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特集/小雪と鍋

投稿者:きみくら編集部

小雪-しょうせつ-(二十四節気)

冬本番には及ばないが、山に雪が振り始める頃。

冬に美味しい食の代名詞といえば鍋。 お肉や魚、たっぷりの野菜に加えてスープも味わえるので、鍋一つで献立が決まってしまうのも嬉しいところ。 好みに合わせてあらゆる味付けにもできる懐の深さもあり、この冬もまた何度も食卓に上ることと思います。

二人暮らしの我が家は、二人とも外出や出勤が減り、毎日のように同じ食卓を囲んでいます。 二人分の料理をまとめて作って、誰かと一緒に食べられるのもこのひと時だけ。 以前は朝も昼も素っ気ないものを食べていましたが、二人分となると疎かにはしづらくなります。 自ずと毎食の献立について考えることが増え、より一食の重みが増したように感じます。

例えば、野菜を切るだけで作れると思っていた鍋も、より多くの栄養素が取れる具材を選ぼうとすると、その奥深さに気づかされます。 風邪を引く前に、喉に効くネギや大根を意識して入れ、特に寒い日には身体を温める生姜やニラ、海老、鮭なども加えます。 外の空気を味わえない分、鰤や柚子など旬の食材で季節を取り入れるのも一興です。 冬が旬の食材もまた、身体を温めてくれます。

他にも、鮮やかな緑色の葉物、暖色系の人参や柑橘系など、食材を色で捉え直すと目でも楽しめます。 特に食卓も心も明るくするのは、鍋から立ち上がる湯気の白色です。(茶道の世界では)「冬の湯気はご馳走」とよく言われますが、舌だけでなく目で味わえるのが料理の醍醐味です。 熱々の湯気が浮かび上がる鍋は、もう食べる前から美味しいことが伝わります。

こんなとき、お鍋のどんな具材にも合うのが、お茶と鰹の合わせだしです。
鍋にお茶?と驚かれる方もいらっしゃるかと思いますが、実はお茶の中でも特に緑茶にはグルタミン酸が多く、鰹節にはイノシン酸と、それぞれ異なるうま味成分のアミノ酸が含まれています。 このアミノ酸は一種類だけのときよりも、複数組み合わせたときに飛躍的に美味しさが増すとされています。

一方でこのアミノ酸は、加熱するとピラジンという香り成分に変化します。 そのためピラジンは緑茶を焙煎したほうじ茶に多く含まれ、私たちの気持ちをほぐすリラックス効果とともに、食欲をそそる香ばしい香りをもたらします。 血行を促進するとも言われており、身体が冷えやすい冬にこそ嬉しい効果も。
今回はかつおだしのうま味成分と、ほうじ茶の香り成分のいいところを掛け合わせ、ぜひ一緒に味わっていきましょう。

まず最初にかつおだしをしっかり煮出し、澄んだだしの色と香りを楽しんだ後にティーバッグを加えると、湯気とともにブワッとほうじ茶の香りが沸き立ちます。
ほうじ茶とかつおだしだけだと遠慮がちな優しい風味ですが、そこに食材と、少量の塩が足されるとうま味が一気に存在感を増します。

今年の冬にぜひ試していただきたいのは、お碗によそったお鍋の具に、みかんを一絞りすること。 ほうじ茶とかつおだしのスープとみかんの甘みとやさしい酸味がちょうどよく折り合わさり、全部飲み干したくなります。 サンマに振りかけるかぼすやすだちのように、魚介類やお肉をさっぱりさせる効果も。

シンプルに作られた鍋だけに、一口入れるごとにその素材そのもののパワーをダイレクトに受け取り、体に染みていきます。 香り、味、食感、そしてその温かさが、一年間の疲れを取り去ってくれるようです。旬の食材はどうしてこんなに人の体を守るように巡ってくれるのでしょう。 ありがたくいただきます。

【お茶とかつおだしの鍋のレシピ】

材料 [二人前]

  • ほうじ茶ティーバッグ1包
  • かつおだし1包
  • 600ml
  • 2切
  • 長ネギ1本
  • ニラ・水菜各1パック
  • 豆腐・油揚げ・きのこ類適量
  • 生姜ひとかけ半(10g程度)
  • みかん1/2個
  • 小さじ1〜2

作り方

  • 1. 生姜は摩り下ろし、その他の具材は食べやすい大きさにカットします。
  • 2. 沸騰させたお湯にかつおだしを入れて5分ほど弱火で煮出します。
  • 3. かつおだしの袋を取り出し、具材を全て入れて蓋をして煮込みます。
  • 4. 鰤に火が通ったら、ティーバッグを入れて30秒以上待ち、お茶の色や味が出ているのを確認したらティーバッグを取り除きます。
  • 5. 塩を鍋全体に振りかけます。
  • 6. 5をお碗によそい、みかんの果汁を絞ったら完成です。
お茶鍋の雑炊(二人前)

食べ終わった後はスープに白米(お茶碗1杯分)とかつおだしの出殻(少々)を入れ、溶いた卵(1個分)を入れて混ぜてお召し上がりください。

二十四節気で「小雪」に当たる11月末は、積もらないほどの雪がぱらつく日と暖かい日を繰り返し、本格的な冬へと近づいていく頃です。
その寒さの中でも、常緑樹である橘は青々とした葉をつけ、鮮やかな黄色の実がなるため、不老不死の力をもたらす木だと考えられていました。
そんな橘の実が黄色く色づく時期を、七十二候では「橘始黄(たちばなはじめてきばむ)」と呼びます。
橘の実は酸味が強く食用には向きませんが、柚子やみかん、金柑など、冬こそ美味しい柑橘はたくさんあります。
炬燵の上に載せておいてそのまま食べても、はちみつ漬けやジャムなどの保存食にしても、お鍋に果汁を絞ってもおいしい季節。

早いもので11月頃には来年の話も聞かれ、たまにしか会えない人には「良いお年を」という挨拶を交わし始めます。 まるで、今年最後の1ヶ月を飛び越したかのよう。実際、今年やり残したことを詰め込んでいると、12月はあっという間に過ぎています。

しかし私たちは、一足飛びに来年を迎えられるわけではありません。 一番風邪を引きやすい時期なのに、一日たりとも風邪を引いていられない、気の抜けない毎日を過ごしています。 どんなに慌ただしい日も、簡単なものをお腹に入れつつ、仕事をしたり家事をしたり。 何気ない食事であれ、今日のために、明日のために、誰もが「食べること」を欠かすことはできません。

飛ぶように過ぎる日々の中でも、何を食べたか、何が美味しかったかを覚えていられるとき、毎日を一歩ずつ踏み締めて、丁寧に過ごしていると強く感じられます。 美味しかった思い出は、忙しい日々に振り回されるだけでなく、毎日を着実に過ごしていた証のようなもの。 特別に凝った料理ではなくても、家族や自分を労って用意した食事であれば、きっと心に残すことができます。

残り少ない今年を駆け抜けられるよう、自分も大切な人も健康でいられるよう、一食一食に気持ちを込めて。 これからこの冬を乗り切るすべての人が、温かいお茶を飲んだときのように、心からあたたまりますように。

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